クモに学ぶ

  静岡理工科大学物質生命科学科の志村史夫教授は、『文明と人間』(丸善ブックス)、『古代日本の超技術』『生物の超技術』(ともに講談社ブルーバックス)などの著作を通して、自然界の仕組みや生物たちのものづくり技術の奥深さ、それを巧みに利用してきた先人たちに学び直すことの大切さを訴えかけてきた。
 その驚きの技術の一例として話してくれたのが、クモが吐く糸、スパイダー・シルクである。
「クモが網を張るのを観察していると、非常におもしろい発見があります。同じ種類のクモでも、一匹一匹個性があり、きれいにきっちりと網を張る職人気質のようなものを感じさせるクモがいれば、エサさえ採れればいいということで、あまり形にこだわらないクモもいます。こだわり派のクモの場合、つくっている途中で失敗したと見るや、それを全部食べてしまい、また糸を吐き直して新しい網をつくります。また、古くなった網をつくり直す場合も、古い網を全部食べてしまいます。このことから、クモの網が完全リサイクルによってつくられているものだと知りました」
(「BIO&GIO MITETICS 自然に学ぶものづくり 生物を観る、知る、創る未来に向けて ☆第1章 「人間力」---生物を観る、知る、創る未来に向けて/古代杉、クモの糸---尊敬すべきは生物の「知恵」☆赤池学著 東洋経済新報社・2005年12月15日発行より転載)
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画像は、イメージによる創作物です(笑)

失敗とみるや新しく作り直す---クモのこだわりに学びたい