心は、言葉を通して育つ...山下景子著「美人の日本語」あとがきより

 たとえば、月を見る時、単に夜空を見上げるのと、月の持つさまざまな名前や物語を知った上で見上げるのとでは、感動の大きさは全然違います。
 絵画や写真も、タイトルが違えば、すっかり印象が変わってしまいます。
 「そこに美しいものがあるから美しいのではなく、美しいと思う心があるから美しいのだ」といいますが、「美しい」という言葉を知らなければ、美しいと思うことすらできません。心は、言葉を通して育つものなのですね。
(山下景子著「美人の日本語」あとがきより転載---幻冬舎発行)