チェコスロヴァキアめぐり (カレル・チャペック エッセイ選集)



往時のチェコスロヴァキアの地形から
社会生活まで幅広くその断面が捉えられています
鋭いジャーナリストの観察眼には普遍なものがあります
固いエッセーばかりではありませんが(笑)
ぼくが大いに共感、感動したことをあげれば下記になります

プラハめぐり』の一部
とりわけ貧困層の深刻な生活に焦点をあて
短編小説風にその生活がきわめて具体的に記され
さらにはその社会的問題点と解決策にまで実に鋭く言及
こんにちの日本、とりわけ、現時点のこの国、否
世界的な問題点にも大いに役立つような示唆がなされているように思いました
時を経ても社会はたいそう変わらないことの証明でもありましょうか!?
人口が増すなど都市がいろんな意味で膨張するのは
自然を破壊していくしかないのかと哀しくなります
なんらかの犠牲を払わずには発展はないものでしょうか

ぼくのこころの住処はチェコではなく
スロヴァキアにあると『スロヴァキア絵図』を読んで思いました(笑)

4人兄姉なか、ただひとり雪深い山中の田舎に生まれ
清い川と豊かな自然のなかで5年間過ごしたことに感謝
下記巻頭メッセージを大切にしていきたいと強く思いました
 生まれ故郷の土地は、幼いころの土地、生涯最初の土地であり、それゆえに、もっとも根強い印象、発見、知識と結びついている場所でもある。
 人は、実際にその場所に帰らなくともよい。いかなる土地に身をおこうとも、実際には、たえず、その場所に生きているのだから。
 生まれ故郷の土地は、生まれ故郷の言葉のようなものである。人は、たとえ異なる言葉で語ったり、書いたりしていても、心の中では、たえず幼いころの言葉で考えたり、夢見たりしているのだから。
 それは、何かの影響などではなく、もっと根源的で、もっと強いものである。それは、自分の魂と人格の一部なのだ。(1938年)


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