園芸家の一年 (カレル・チャペック エッセイ選集)




チャペックのこの本によると
貧乏なぼくは植物を愛情だけで育てています(笑)

多くの園芸家の一挙手一投足を
チャペックがひっそり隠れて観察しているかのよう
自分のことを外から観察でき
もう滑稽すぎて、たまらなくおもしろい時間があります

なかでも『園芸家の八月』は抱腹絶倒しました(笑!)

この種の園芸本は、これ以外には知りません
今後出版されるなど期待できそうにありません
読書家の園芸本といえるのかもしれません

難しいことは知りませんが
人生哲学や自然哲学の美しさ
その美学を一切違和感なく融合されている
このことはレビューとして強調できそうに思います

にやけ、ほほえみ、たのしい気分にずっと浸れました
いままさに眼前に愛情こめた植物と向き合っているように
やさしいチャペックがいて、この本があります

ユーモアやブラックユーモア、ウイットに頭はフル回転(笑)
チャペックの造詣の深さに接し圧倒されるよろこびがあります

植物への想い、愛情をチャペックと共有できたしあわせを感じます
空に植物に鳥にそして土壌に鋭い自然への観察眼には驚かされます


チャペックがこの本で採りあげた植物名の比じゃまったくありませんが
クロッカスやスノードロップ、カンパニュラ、アスターやダリア等々
ぼくの好みと同じなのは訳もなくうれしいです

下記引用、感動をほんの少しでも、ご一緒いただければうれしいです
 わたしはずっと、植物は種から下へ向かって根のようにのびていくか、種から上へ向かってジャガイモの茎のようにのびるものだと考えていた。申しあげるが、そうではないのだ。ほとんどすべての植物が、種の下にのび出して、自分の種をまるで帽子のように頭にのせて上へのびていく。
 想像してみたまえ、子供が頭の上に自分の母親をのせて、はこびながら成長していくのを。それはただ、自然の驚異である。そしてこの軽わざを、ほとんどすべての小さな芽が、この仕事をするのを想像してもよいだろう。それは、どんどん大胆に種を高く持ち上げていき、やがてある日、種を突き放すか、放り出すかする。

星5つ(評価:星5つが最高、星1つが最低)