オペラ全集〈第8巻〉グノー,トーマ,マスネー,ビゼー―対訳 (1959年)

オペラ全集〈第8巻〉グレー,トーマ,マスネー,ビゼー―対訳 (1959年)
上記のようにリンク先Amazonのタイトルにグレーとあるのは、グノーの誤りです(笑)
どうでもいいことですが、また、昨今、マスネーもマスネと表記することが多いです。

この本は古く、四人の作曲家の4つのオペラを扱っていて、さらにはハードカバーで重く、たまたまですが、臥せているいまのぼくの身にはつらいものがありますが(笑)ちなみに、ここに採りあげられている作品は、
・グノー「ファウスト
・トーマ「ミニョン」
・マスネー「マノン」
ビゼーカルメン

他の対訳本やCD、DVD添付のブックレットでは、解説と対訳を各々別途に一括して扱われているものが多くみうけられます。でも、この本でいえば、フランス語と日本語の併記は当然のことながら、オペラの流れにそって、対訳の前に簡単な情景や音楽説明、それも簡単な楽譜をともなう。というように本の構成が素敵です。

なによりもうれしいのは、ストーリーに沿ってストレートに流れを追いページを繰れます。
このことによって、オペラ・ステージ全体、情景と音楽、登場人物の性格等の一切合財が分離することなくひとくくりの作品として、CD音楽のみを聴くとき、ぼくのからだに自然にイメージできます。

この本の魅力をうまく表現できません。下記、一部転載にて、ぼくが何を気に入っているのか察していただけるとうれしいです(笑)
<第3幕ステージ情景、背景モノクロ画像(ページ約半分弱スペース)>

第3幕

 マルグリットの庭。奥に小さな戸がうがたれた塀。左手に木立があり、右手にはあずまやがあって、その窓は観衆のほうに向かっている。樹々とくさむら。

 第1場(シーベル)。

 第7番 イントロダクション(インテルメッツォ)と歌。モデラート・クワジ・アンダンテ ハ短調 4分の4拍子。
 そういったこの幕は、まずシーベルの歌によって始まるが、その前に付されたイントロダクション(あるいはインテルメッツォとも名づけられている)は、夕べの情景にふさわしく、静かな、しかしなにか悲しげな調子をもっている。まず、ホルンに先導されて、弦の最弱奏のピッチカートの音型が奏され、ついで第1ヴァイオリンがうねるような、苦しげな線のたゆたいをもたらす。

<楽譜>
<楽譜>

 これが繰り返されてから、第1ヴァイオリンの音型をフルートのソロがうけついで、さらにわびしげなクラリネットの独奏の調べがエスプレッシヴォで印象的にあらわれるが、これも流れおち、ふたたび半音階的に上昇する16分音符にひきつがれ、幕があがる。

<楽譜>

 花の歌 アレグレット・アジタート ハ長調 8分の6拍子。
 有名な<花の歌>。短い前奏は低弦を中心とするが、すぐにシーベルの独唱が始まる。シーベルはバラやリラの茂みの近くに立ちどまる。

<楽譜>

Siebel  Faites-lui mes aveux,     シーベル ぼくの告白をあのひとに告げておくれ、
・
・
・
・
・

・・・といったように以下、対訳文が続く
また対訳途中、シーンや音楽の変化にともない、
 アンダンテ 4分の4拍子。語るようにつづける。
<対訳>
 彼はもうひとつ花をつむが、これもまた花びらが散ってしまう。アレグレット・アジタート 8分の6拍子。アンダンテ。

・・・といったように、テンポ、拍子、強弱、情景描写等が表現されています。



ちなみに、いま、聴いているCDは、下記ファウスト*歌劇です。

グノー:歌劇「ファウスト
東芝EMI
歌唱:フランス語
録音:1958年9-10月(Salle de la Mutualite, Paris)
台本: ジュール・バルビエ, ミシェル・カレ

ソプラノ:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス
テノール:ニコライ・ゲッダ
バス:ボリス・クリストフ

アンドレ・クリュイタンス指揮
パリ国立歌劇場管弦楽団及び合唱団