砂庭に入るな!?(2004.07.04)

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大阪・四天王寺境内、南東角に位置する通称「太子殿」、虎の門の表札は「聖霊院(しょうりょういん)」とある、聖徳太子をお祀りしているお堂(天王寺御廟)がある。

太子殿の廊下から西に五重塔が真正面に望める。こういうのも借景というのだろうかしら。東西5m×南北50mくらいか、廊下と殿の土塀との間に白砂の敷かれた庭が広がる。一木一草をも用いず竜安寺の石庭ように石をも配していない庭がある。廊下に腰を下ろし、五重塔の風鐸の軽やかな音色に、ひととき静寂を感じるところである。

以前は、同心円状というか波紋状に美しく掃きだろうか描きだろうか、枯山水という世界か精神性の高いなにかが表現されていた。
が、きょう久しぶりにたずねてみてがっかりした。砂庭は荒れ狂い、人の手が入らなくなって久しいことを語るかのように、雑草が転々と小さな固まりとなって生えて白砂に緑の斑点を散らしていた。

虎の門を入ってすぐの砂上に注意書きの立て札。砂庭には入らないでくださいといった内容。どうやら砂庭を手入れをする人、庭師も入らなくなったらしいことは明白だった。
その横を、賽銭回収用かの金庫を下げた四天王寺の法被をまとった職員さんが足早に駆け抜けた。
人の非情、無情の世界をみた思いがした。

(2004.07.04)


【写真:四天王寺太子殿廊下から砂庭を見下ろす】