大遺言書 (新潮文庫)森繁久彌 語り・久世光彦 文






聞き書きっていいですねぇ─

居心地のいい空気をともに・・・



それはちょうど〔声色〕が、本人よりよほど本人らしいのに似ている。聞書の書き手よって濾過され煮つめられたもののほうが、より当人の本質を射止めているものだ。等々、『聞書の妙』だとこの本巻末の解説で鴨下信一氏が述べておられます。

聞き書き、このタイプの本ははじめてかと思う。あるときは、森繁さんとぼくの二人だったり、久世さんとの三人であったり、また、伸子さんもそばにいたり、娘さんの昭子さんを囲んでみんなでと、そのときどきのシチュエーションで、いろいろにその時と空間が広がってたのしい。
まさに森繁さんといっしょに時を過ごすといった臨場感を久世氏がたくみに著されているのだとおもいます。

森繁さんの「人生讃歌」の世界、森繁さんの空気を共有できる素敵な本と出合うことができて感謝しています。
このシリーズがあと何冊かあるようなので読んでもっと、森繁さんといっしょに暮らす時間をたのしもうとおもいます。



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