フィガロの結婚 (マンガ名作オペラ (6))





特別付録「フィガロの結婚」以前の物語
ロッシーニ作「セビリアの理髪師」を簡単に(笑)

論理的思考に欠け複雑なことの苦手なぼくには
フィガロの結婚」の裏表の逆のまた逆(笑)
企みが露見、ならばとさらに仕掛ける企みの企み
そのすばやい対応が興味深く面白いのにもかかわらず
どんどん複雑になっていくような恋仕掛け!?
そんな多くのことの整理整頓、解決が図られた(笑!?)

巻末に解説の岡田暁生氏は、彼の喜劇オペラで頻出する取り違えや変装や仮面の類誰か分からない相手に言い寄られたり、本当は知っている相手なのにそれと分からないように別人に変装して言い寄ったり、しかもその相手は実は知人の許婚者だったり、あるいは自分の主人の妻だったり恋人だったり禁じられた倒錯的なエロスの関係を迷宮のように張り巡らせ、眩暈にも似た陶酔を生み出すと、ぼくのなかの混乱を的確に描写、記述された。

変わり身が実に早くウイットに富んだ登場人物たちと
喜劇オペラ繁栄の時代背景、さらには、官能の時代ロココ貴族たちは明日のことも忘れ果てて、恋の戯れと笑いにうつつを抜かしていたアンシャン=レジームと呼ばれた時代、そして文学の世界、実在のカサノヴァによる『カサノヴァ回想録』やラクロの小説『危険な関係』など多くのことを学んだ。

およそ「偉大」などということからは程遠いおふざけやお色気に、信じられない位に優美で生き生きした音楽表現を与えた点にこそ、モーツァルトの比類ない偉大さがあることを、さらには、解説「喜劇オペラと官能の18世紀」(岡田暁生・著)

こうしてたくさんのことを学んでくると
また、オペラ観劇、音楽へのたのしみや関心も深まり
さらに多くを知りたい意欲が増してくるというものです



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