イソップ寓話集〈2〉 (1982年)

 
イソップ寓話集〈2〉 (1982年)
渡辺 和雄 (翻訳)
小学館


イソップ寓話」を歴史的にまた学術的に、そして、そのヴァリエーションを、しっかり研究対象の文献として学ぶうえには欠かせないもののようです。

この全集底本(稿本)が多くの人の手や時代を経ていない、揺らいでいない、きわめて純粋なもののようです。

後半には、「イソップ寓話と作者について」「イソップ寓話のさし絵集」が収録されています。
イソップ寓話の意味するもの』『イソップ寓話の表現するもの』『イソップの実在性をめぐって』は興味深いです。

子ヒツジは純情無垢の擬人化であり、キツネはずる賢こさ、ロバは愚かさ、ヒツジは狭量、ライオンは力といったように。中でも大きな役割を果たすのがライオン、オオカミ、キツネです。
これら決まったエトス(性格)をもつ擬人化された動物たちの話、上述でぼくがヴァリエーションと表現しましたが、ひとつのキャラクターの話を整理整頓!?して、結果、似た話が列挙されることになりますが、たくさん掲載されます。
話の、そのロケーションなりシチュエーション等々が変化するだけで、もちろん、その教訓的な意味合いがころっと異なり、普遍的な結論を得られ導かれそうで決して決めつけられない。
極論でしょうが『人間万事塞翁が馬』といったものの発見にたくさん出合ったように思います。



印象に残った話
233 ランプ
「ランプよ、灯をともせ。だがだまっていろ。天体のかがやきはけっして消えることはないのだ。」
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人は名誉、名声にかがやくとき、そえrに目がくらんではいけない。えられるものはなんであれ自分のものではない、ということです。

266 塩を運ぶロバ

なにもこの本に限ったことではないのですが、こんにち、モンスターペアレント問題!?が叫ばれていますが、
イソップ寓話のなかの297 ぬすみをはたらいた子どもと母親の話は、しっかり戒めの言葉として知っておいてもらいたいものです。
モンスターペアレント問題!?が象徴するように、「恥」というものを失くして哀しいです。

イソップ寓話に引き続きシャンブリ版329編の寓話の他に、12編の有名な話も載っています。


出典先がいろいろあるのかもしれません。
と、「イソップ寓話集〈1〉(1982年)」で話していたことはこの本で解決しました(笑)




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