【ブックレビュー】上方落語 桂米朝コレクション〈3〉愛憎模様 (ちくま文庫)

 

タイトル:上方落語 桂米朝コレクション〈3〉愛憎模様
米朝(著)筑摩書房




世の中いくら変わっても、
歌などに表現されるように、
今も昔も、人間の基本的な営みは何ら変わらない。

その愛憎模様は千差万別!?
ある意味、かわいいものがあるように思えてならない。
「愛は盲目」であり、
人の純粋な一面を浮き彫りにするものでもありそうです。

愛と性も切り離せないものですよね。
米朝さんも記されているように、
ほんに『ささやかな』艶笑譚。

この程度でもむかしは御法度でしたとか。
しかし、実に巧妙な手段で、寝とられ亭主に同情するよりさきに、ウームと唸って拍手したくなるくらい知的で滑稽なシーン、生まれて初めて活字で目にする機会を得ました。

後先しますが、禁演落語「故郷へ錦」
近親相姦がテーマで陰湿かつ危険性があまり感じられず、
むしろ笑顔で読むことができ、
こんな世界を知ることができて、むしろ感謝します。

性的表現にアレルギー反応を持つ方がおられることは、
百も承知していますし、お薦めできないのでしょうが、
女性専用列車の導入等々、男女を分つやり方とは反対に、
こういったカタチ、認識の上で、
男女が素敵に共存できるようにするのも、否、
むしろ、ぼくはそういったことの道を探ることこそ、
真の問題解決、よりベターな方法だと常日頃考えています。

断っておきますが、病的なものは上述範疇外のもので、
こちらはドクターに治癒をお願いしなくちゃいけませんよ!

こんにち、多くの悲惨な事件を顧みて、
男女の機微を理解しないことに起因する、
あまりにも理性に欠けた行動を抑止する観点からいっても、
こういった落語を通した啓蒙も必要だと思っています。

人間の愛憎模様、ここにこそ、
こんにちの複雑怪奇な問題解決のヒントが、
少しは隠されているように思えてなりません。

もっとも、そればかりではありません。
日本国民、私たちの自立、独立、真の民主主義の獲得、
政治的リーダーシップの責任、
経済至上主義からの発想の責任等々、
多々複雑に絡み合っているのでしょうが、
だからこそ、こういったシンプルな落語の世界に、
解決の糸口を見いだしたいとも切に願うのです。


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