万物に生命(いのち)を......センス・オブ・ワンダー(3)

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     生けるものだけに生命があるわけではありません

     わたしたちがそこに生命(いのち)を吹き込むのです


     万物に生命(いのち)を感じましょう

     森羅万象を友だちにしましょう

     空想と創造の世界に遊びましょう


     母の胎内にもどって眠りましょう

     こころとからだがひとつになり

     しあわせに満たされ澄んだ血の流れるのがわかるでしょう




もし、あなた自身は自然への知識をほんのすこししかもっていないと感じていたとしても、親として、たくさんのことを子どもにしてやることができます。
 たとえば、子どもといっしょに空を見あげてみましょう。そこには夜明けや黄昏の美しさがあり、流れる雲、夜空にまたたく星があります。
 子どもといっしょに風の音をきくこともできます。それが森を吹き渡るごうごうという声であろうと、家のひさしや、アパートの角でヒューヒューという風のコーラスであろうと、そうした音に耳をかたむけているうちに、あなたの心は不思議に解き放たれていくでしょう。
 雨の日には外にでて、雨に顔を打たせながら、海から空、そして地上へと姿をかえていくひとしずくの水の長い旅路に思いをめぐらせることもできるでしょう。
 あなたが都会でくらしているとしても、公園やゴルフ場などで、あの不思議な鳥の渡りを見て、季節の移ろいを感じることもできるのです。
さらに、台所の窓辺の小さな植木鉢にまかれた一粒の種子さえも、芽をだし成長していく植物の神秘について、子どもといっしょにじっくり考える機会をあたえてくれるでしょう。
    (「センス・オブ・ワンダー」 ・レイチェル・カーソン著・上遠恵子訳より)